新海誠監督の最新作『天気の子』が公開されたので、週末のレイトショーで観に行きました。基本的にいつでも空いてるイメージがある映画館に通ってるんですけど、今回はほぼ満席。前作の『君の名は。』が大ヒットしたこともあって、注目度が高い模様。
覚悟しな pic.twitter.com/nbRqE3r5hb
— トシ(ブレスオブ矢三郎bot (@tk_8492) 2019年7月20日
やっぱり新海作品の映像美はすげぇなと思ったし、BGMもそれぞれの場面をしっかり盛り上げていて良かった。前作に引き続いて音楽担当はRADWIMPSでしたけど、彼らはまた良い仕事しましたね。女性ボーカル、三浦透子さんの起用によって生まれた透き通るような劇中歌『グランドエスケープ』好きです。映画を観た翌日にはサントラ買っちゃいました。もちろん、主題歌『愛にできることはまだあるかい』も最高。
「行け」と言う pic.twitter.com/oIpuROiMOt
— トシ(ブレスオブ矢三郎bot (@tk_8492) 2019年7月21日
雨上がりの晴れ渡る新宿が今作ではとても美しく、爽快に描かれていました。
"名前を呼び合うことができる"を奇跡のように描いていた『君の名は。』に対して、"一緒に雨上がりの空を見ることができる"を『天気の子』では奇跡として描いているように感じます。
作中でスポンサー商品がたくさん出てくるので、これまでの新海作品にはない雰囲気を感じる部分もありました。まるでタイバニ。本田技研工業がめっちゃ喜んでる姿が目に浮かぶ。露骨なのもあるので、この俗っぽさの時点で好き嫌い別れそうとは思う。ジャンル的にはファンタジーだけど、警察とか児相とかも出てきて、なんだか妙に生々しいリアリティを備えている作品になったなぁとも。
あと、予告映像の公開から下手っぴと言われてた本田翼の演技。僕も正直不安を感じてましたけど、全体を通して振り返るとキャラクターにとても合っていたと思います。マジですみませんでした…
『天気の子』観たいけど、本田翼の棒読みシーンにテンション萎える自信ある
— トシ(ブレスオブ矢三郎bot (@tk_8492) 2019年7月18日
本田翼の演技、悪くなかったです(手の平返し
— トシ(ブレスオブ矢三郎bot (@tk_8492) 2019年7月20日
物語に触れないまま感想言うのも難しいので、以下はネタバレ注意ということでよしなに。
内容としては、恋愛物語の王道。どうしても前作と比べてしまうけど、『君の名は。』よりも"少年と少女"に強くスポットライトを当てているように感じました。あとは、いわゆるセカイ系のお話であるということ。「世界と君。救えるのは、一方のみ」というやつです。
『君の名は。』では「三葉を救う」ことと「糸守町の住民を救う」ことがリンクしているので、三葉を取り戻すために奔走する主人公、瀧くんの行動は肯定的に捉えることができる。つまり、観客も全力で応援することができるわけです。
ところが『天気の子』でそれは成り立たない。陽菜を救うことは、99.9%の人々に不幸をもたらす結果に至る。それでも、それに歯向かって"君"を選ぶ帆高の物語。妄言、奇行、精神異常者の扱いを受けて嘲笑されても、ただがむしゃらに"君"を選ぶ少年と、それにハートを撃ち抜かれる少女のお話。愚かなラブストーリーなわけです。
帆高と出会う前の陽菜にとって、大切な人って弟の凪くらいだったんじゃないでしょうか。そんな彼女が晴れ女の"人柱"になったのは神様の意思か、気まぐれか、まったくの偶然か。「いずれ悲劇に見舞われる役目ならば、お前のような者に背負わせよう」みたいな神秘の仕掛けがあの世界にはあるのかもしれない。
何にせよ、帆高から貰った大切な指輪がその身から透け落ち、雲の彼方で本当にひとりぼっちになった陽菜。孤独に絶望し、泣き疲れたであろう少女の手を掴み、地上へと連れ戻す少年はなんと業が深いことか。
今や陳腐化しているであろうテーマをこの時代にまたぶちかますの、ホントにしつこい。しつこいよ新海誠(賞賛)。
上記のこともあって、前作よりは鑑賞後の感想・解釈が分かれる作品になったと感じました。だけど、どちらも異なる魅力があるボーイミーツガールになっていて、安直な『君の名は。2』にならなかったのは素晴らしいと思います。良い意味で青臭くて、挑戦的だったなと。新海監督の自然、神、運命に対する感性も垣間見えた気がする。
帆高は故郷でどんな暮らしをしていて、なぜ家出した?
陽菜や凪の父親や親戚は?
須賀さんや夏美はあの後、社会的にどうやって立ち直った?
深く語られていない部分が色々あるのは気になったけど、これは小説版で補完されてたりするのだろうか、今度読んでみようかな。
そういえば、前作のキャラクターが登場してきたことには驚きました。瀧くんと三葉はさすがに分かりましたけど、てっしー、さやちん、四葉も出てきてたのは気づきませんでした。BD化された時に探してみます。
『言の葉の庭』『君の名は。』『天気の子』は地続きの世界ってことになりますよねこれ。
映画館を出たら外がちょうど雨模様で、なんだか感傷的な気分になりました。長引いている今年の梅雨に「これでも良いよ」なんて思ってみたり。
今ならビッグマックくれるかわいい店員さんに巡り会える気がします。