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『FINAL FANTASY VII REMAKE』『FF7R』プレイレビュー ~"悲願"の作品~

2020年4月10日にリリースされたFINAL FANTASY VII REMAKE』(以下『FF7R』)をクリアした。オリジナル版のリリースから23年、E3会場での発表から5年という歳月を経て手にしたタイトルだったからか、一つ一つのチャプターを噛みしめるようにプレイしてきた。せっかくだからクリア後の感想をまとめてみる。

 

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緻密に描写される魔晄都市ミッドガ

 

PS4のグラフィックで描写される魔晄都市ミッドガル、その緻密さには序盤から驚かされました。オリジナルであるPS版では「頭上にプレートがある重苦しさ」を想像で補うしかありませんでしたが、こうしてリアルなグラフィックで目の当たりにすると、スラムで暮らすことの息苦しさも伝わってきます。

 

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市街地やスラムには住民としてNPCが多く配置されていますが、このNPCのセリフ量がかなり豊富なことにも好感を持てました。近くを通る度に喧騒が次々と耳に飛び込んでくる(字幕は非表示への切り替えも可)。

 

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昔は街のNPCに声を掛け回ってセリフをチェックしたものですが、今ではこういう手法で体験できるのだなぁとしみじみ思いました。イベント前後でちゃんと変化があるのも面白いです。結果としてスラムの人々に生活感が増し、溢れんばかりの活力や世界観を感じられたのは良い仕掛けだったなぁと。

 

「ミッドガル脱出までを描く」というシナリオの区切りは以前から明示されていたため「すぐクリアしちゃうんじゃないの?」という懸念がありましたが、追加イベントも多いため、最終的には十分なボリュームに感じました。各キャラクターとのドラマ性も増し、新しい魅力を発掘できる場面もありました。

 

 

教会からエアリスと脱出するシーンは特にお気に入りです。

 

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アクションとコマンドによる絶妙なバトルシステム

 

リリース前からバトルシステムにアクション要素が入ることは聞いていたので、イメージ的には『キングダムハーツシリーズ』みたいになるのかなと思っていました。プレイしてみて分かりましたが、FF7R独自のバトルシステムという印象が強いです。初周の難易度は「NORMAL」でプレイしていましたが、□ボタン連打でクリアできるほど単純ではない感じ。

 

FF7Rはなんてことないザコ敵に思わぬ敗北を喫する場面がわりと多い。手を抜くとあっという間にピンチになるし、工夫次第でどんどん有利にもなる性質が強いため、敵モンスターの弱点をチェックするのはまず必須となるでしょう。効果的なダメージソースはATBゲージを消費するアビリティ技か魔法になるので、コマンドを選んでいる時間が結構多く発生します。コマンド選択時はスローモーションになりますが、どのシーンでも絵になります。キャラのモデリング、モーション、エフェクトが優れている証拠ですね。

 

強敵をBURST状態に追い込み、一気に技を叩き込んでHPを削り取っていく快感はなかなかのもの。カウンター成功時のSEやストップモーションも気持ち良い。

 

 

FF7Rは操作キャラをチェンジしながら攻守を切り替えていくので、「限りなくリアルタイムに近づけたターン制バトル」という感覚を覚えました。ゴリゴリのアクションゲームにすると反射神経を始めとするプレイヤースキルを求められますけど、こういった面が見た目ほど強くないバトルシステムはリメイクである今作において正解だと思います。

 

リアルなグラフィックでもギャグシーンは成立する

 

グラフィックがリアルになればなるほどシリアスなシーンは映えますが、逆にアダルトなシーンやギャグシーンは難しくなる傾向があります。オリジナル版ではムチャクチャな作戦で状況を打開するシーンがあり、この再現をどうするのかという点でも注目を集めていました。ウォールマーケットの「女装イベント」がそれです。

 

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FF7R、豪快なフルスイングを見せてくれます。女装クラウドのみならず、エアリスやティファのドレス姿も必見。なんだか、実写版の『翔んで埼玉』を観たような気分。コルネオのイヤ~な感じも増していたし、各キャラクターの活き活きとした描写がプレイヤーに良い体験を味あわせてくれたのだと思います。

 

こうしたギャグパートで振り切ったからこそ、後に訪れるシリアスな展開が深みを増す。

 

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シナリオ進行中は一方通行になる

 

シナリオ進行中は後戻りができない一方通行になる場面は多いです。オープンワールドを舞台にした近年のRPGに慣れた後だと強制されているような感覚が出てしまうため、ここはプレイヤー毎に好き嫌い出るかもしれません。

 

とは言え、ミッドガルは神羅の根城。脱出までは追い回される立場なので、シナリオ的には今作の形式で問題ないと思いました。クリア後のチャプターセレクトで取り逃したアイテムの回収はできるし、こうしたアプローチでダンジョンの再攻略をできるようにしたのは方針として良かったと思います。

 

弱点を突けない場合は持久戦に陥りやすい

 

火や氷といった属性は装備したマテリアに依存しているため、ボス戦などで弱点属性を突けるマテリアを装備していない場合は持久戦になりがちです(戦闘中にマテリアの変更は不可)。今作のボスはムービー演出を挟みながら攻撃パターンを変化させていくスタイルなので、ただでさえ長い戦闘がより長くなります。

 

この場合は持久戦覚悟でゴリ押し。または、ポーズ画面からバトル直前まで戻り、マテリアをセットし直して再挑戦という方法を取ることになります。後者の方が利口ですけど、没入感が削がれるので能動的にはやりたくない方法でした。

 

ここは続編でパーティーメンバーが増え、バトルメンバーのチェンジが自由にできるようになれば解決していくかもしれません。

 

続編に対する期待(重大なネタバレあり)

 

今作を通して大きな謎となっている正体不明の魔物は、ストーリーの後半で「フィーラー」という名前であることが判明します。このフィーラーは「運命の番人」とも呼ばれ、クラウド達の行く手を阻み、時には手助けするような行動をとる。

 

物語が大きく動くタイミングでフィーラーは現れる。彼らが守る"運命"とはつまり、オリジナルである"FF7の物語"のことでしょう。彼らは、"FF7Rの物語"が"FF7の物語"から外れることを妨害する修正力そのもの。

 

今作の最終章ではフィーラーを打ち破り、クラウド達が白紙の未来へ進むことが明らかになる。続編ではオリジナル版の流れに沿いながら、運命の特異点となる要所では全く別の展開になることが予想できます。

 

今作の段階でここまではっきりとシナリオ改変に踏み込んだことは驚いたけれど、僕はこの路線を支持するし、続編が楽しみという気持ちも一層強くなりました。

 

死の運命は変えられるのか

 

FF7を語る上では欠かせないキーパーソンであるザックス。オリジナル版では神羅の追手に殺害された彼ですが、今作ではこの追手を打ち破り、クラウドと共にミッドガルへの生還を示唆するシーンがエンディングの中で確認できます。僕の解釈だけど、これは古代種の能力を通じてエアリスが垣間見た"別のFF7"だと思う。

 

シュタインズゲート』の話をしているみたいになるけど、FF7には"ザックスが生存した世界線"もまた存在するのではないでしょうか。

 

ただ、"FF7Rの物語"においてザックスはオリジナル版と同様の運命を辿り「死亡したキャラクター」になっていると思います。ザックス生存とクラウドのソルジャー1st(自称)が両立することは考えにくいです。

 

ここで重要なことは、クラウドと同様にザックスもまた運命を打ち破った世界線が存在する。運命の特異点は過去と未来にいくつも存在し、死すら変える可能性さえ持つと示したのではないかという点です。

 

もしかしたら、FF7Rでも回避できる死の運命があるのではないだろうか?

 

FF7プレイヤーならば、一度は胸に抱いたであろう"悲願"が届く物語だってあるのではないか?

 

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"REMAKE"は決意表明か

 

FINAL FANTASY VII REMAKE』というタイトル。FFシリーズにしては随分と捻りがないなぁと思っていたけれど、クリア後に改めて見ると、"新しい未来へ作り直す"という意味を込めてこのタイトルにしたのかなと思える。だとしたら、"REMAKE"の部分は決意表明なのかもしれない。改めて、続編が楽しみで仕方がない。

 

ファイナルファンタジーVII リメイク アルティマニア

ファイナルファンタジーVII リメイク アルティマニア

  • 発売日: 2020/04/28
  • メディア: ムック